NPO法人とは?
NPOとは、利益を目的とせず、地域や社会のために活動する団体のことです。たとえば、高齢者の支援や子育て、まちづくりなど、身近な課題に取り組むグループがこれにあたります。
会社のように利益を出して関係者に分けるのではなく、活動に必要な費用をまかなったうえで、残ったお金は次の活動に使うのが基本です。つまり、「儲けるため」ではなく、「誰かのために動く」ことを目的としています。
そして「NPO法人」とは、こうした団体が法律に基づいて正式な法人格を取得したものを指します。法人になることで、銀行口座を作ったり、契約を結んだり、助成金を受けたりと、活動の幅が広がります。

非営利団体とは?
会社(株式会社)は、利益を出すことを目的にした組織です。株主と呼ばれる人たちがお金を出して会社を始め、会社はそのお金を使って事業を行い、利益が出たら株主に分けるしくみになっています。
一方で、NPOは「社会のために役立つこと」を目的にした団体です。たとえば、高齢者の移動支援や子育てサポート、地域の居場所づくりなど、暮らしの中の困りごとに向き合う活動が中心です。
NPOも活動に必要なお金を集めます。会費や寄附金、サービスの対価などを受け取ることはできますが、そこで得た利益をメンバーに分けることはできません。利益はすべて、次の活動のために使います。
そして、寄附してくれた人や協力してくれた人に対して、「どんな活動に使ったのか」「どんな成果があったのか」をきちんと報告します。そのうえで、また次の協力や応援をお願いしていくのです。
利益を自分たちのためではなく、社会のために使うしくみになっているので、NPOは「非営利の団体」と呼ばれています。

NPO法人になるための要件は何?
次に掲げる活動のうち一つ以上を行い、不特定かつ多数のものの利益(つまり公益)の
増進に寄与することを目的とすること
NPO法人として正式に認められるためには、いくつかの条件があります。その中でも特に大切なのが、「社会のためになる活動をしていること」です。具体的には、次のような分野のうち、少なくともひとつ以上に取り組んでいる必要があります。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動※浜松市では定めていません。
団体として次の要件を満たすこと
- 特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること。
- 営利を目的としないものであること。(非営利についての説明は、Q2を参照)
- 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。
※社員とは、総会において議決権を持つ者で、従業員のことではありません。また、不当な条件とは、例えば「○○高校の同窓生に限る」とか「○○町△△地域在住者に限る」などとすることです。 - 理事が3人以上、監事が1人以上いること。
- 役員(理事及び監事)のうち報酬を受ける者が役員総数の3分の1以下であること。
※役員が職員として働いている場合、労働の対価として支払われた報酬はこれに該当しません。 - 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと。
- 政党活動(特定の政党等を推薦することなど)を目的とするものでないこと。
- 暴力団でないこと、暴力団又はその構成員等に統制されてないこと。
- 10 人以上の社員がいること。
浜松市でNPO法人を立ち上げる流れは?
NPO法人になるには、所轄庁(注)の認証を受けなければなりません。
浜松市内のみに事務所を置くNPO法人の所轄庁は浜松市となりますので、NPO法人を立ち上げようとする場合は、浜松市に設立の認証申請を行うことになります。
以下の書類を作成し、所轄庁の窓口に提出します。
- 特定非営利活動法人設立認証申請書
- 定款
- 役員名簿(役員報酬を受ける者の有無等の記載を含む)
- 役員就任承諾書及び宣誓書(欠格事由に該当しないこと等を誓う)
- 役員の住所又は居所を証する書面(住民票等)
- 社員のうち10 人以上の者の氏名及び住所または居所を記載した書面
- 確認書(宗教活動・政治活動を主たる目的としないこと等)
- 設立趣旨書
- 設立についての意思決定を証する議事録
- 設立の初年度及び翌年度の事業計画書
- 設立の初年度及び翌年度の活動予算書

浜松市でのNPO法人設立の申請や届出の窓口は?

手続きに要する期間は?
申請が受理されると、次の情報が浜松市のホームページで公開されます。
- 申請した日
- 団体名
- 代表者の名前
- 事務所の住所
- 団体の目的(定款に書かれている内容)
さらに、以下の書類は申請日から2週間、誰でも閲覧できるように公開されます。(これを「縦覧」といいます)
- 定款
- 役員名簿
- 設立趣旨書
- 事業計画書
- 活動予算書
この期間は、地域の方々が団体の内容を確認できるようにするためのものです。その後、静岡県が2ヵ月以内に審査を行い、法律に基づいて「認証するかどうか」を判断します。条件を満たしていれば、最長でも2ヵ月半以内には認証される可能性があります。
NPO法人の設立に要する費用は?
たとえば「財団法人」などの一部の法人では、設立時にまとまった財産が必要になることがあります。
NPO法人の場合は、法律で「いくら以上の資金が必要」といった決まりはありません。
また、会社をつくるときにかかる「登録免許税」も、NPO法人にはかかりません。
そのため、設立に必要な費用は、主に以下のようなものだけです。
- 書類を作成するための印刷や製本などの実費
- 法人の代表者印(いわゆる「法人印」)をつくる費用
つまり、大きな資金がなくても、社会のために活動したいという想いがあれば、NPO法人を始めることができます。
法人格取得のメリットは?
NPO法人として「法人格」を持つと、契約や財産の管理などを団体の名前で行えるようになります。これにより、責任の所在がはっきりし、活動の信頼性も高まります。
たとえば、事務所を借りたり、電話回線を契約したり、コピー機をレンタルしたりする場合、任意団体では代表者の個人名義でしか契約できません。銀行口座も団体名では作れないため、代表者の個人口座を使うことになります。また、環境保全のために土地を購入したり、事務所として建物を取得したりしても、不動産の登記は個人名義になってしまいます。その結果、代表者が交代したり、万が一の事故が起きた場合に、名義変更や相続の問題が発生することもあります。さらに、活動中に事故などが起きた場合、団体ではなく代表者やメンバー個人が責任を問われる可能性もあります。こうしたリスクを避けるためにも、法人格を持つことで「契約や財産の管理を団体として行える」「責任の所在が明確になる」「社会的な信用が高まる」といったメリットがあります。
NPO法人の義務は?
NPO法人として活動するには、NPO法に定められたルールを守ることはもちろん、その他の法律や、団体が自分で定めた「定款」に沿って運営する義務も生まれます。
たとえば、NPO法では次のようなことが義務づけられています
- 毎年1回以上、社員総会を開くこと
-
団体の方針や予算などを話し合い、決定する場です。
- きちんとした会計処理を行うこと
-
お金の出入りを記録し、「貸借対照表」や「活動計算書」などの書類を作成します。
- 税務署や県財務事務所への届け出や申告
-
税金に関する書類の提出や、必要に応じた申告を行います。
これらの手続きは、団体の規模に関係なく、すべてのNPO法人に共通して求められるものです。
浜松市で活動するNPO法人も、こうしたルールを守りながら、地域に信頼される運営を続けています。最初は少し手間に感じるかもしれませんが、「きちんとした団体」として認められるための大切なステップです。
まとめ|浜松市でNPO法人設立|安心して一歩を踏み出すために
「地域のために何かしたい」「想いをかたちにしたい」そんな気持ちから始まるNPO法人設立。
けれど、実際に動き出そうとすると、法律や手続き、書類作成、登記、会計、報告義務など、初めての方には不安も多いのではないでしょうか。
当事務所では、NPO法人設立に必要なすべてのステップを、地域密着・実務重視・安心設計でサポートしています。
- 法律のしくみを、やさしく、わかりやすくご説明
- 定款や事業計画書などの書類作成を、団体の想いに寄り添って設計
- 登記や税務手続きも、実務に強い専門家が丁寧に対応※提携先士業と連携して対応いたします。
- 設立後の運営や報告義務も、継続的にフォロー
- 何より、「あなたらしい団体づくり」を一緒に考えます
浜松市で、地域に根ざした活動を始めたい方へ。制度の壁に悩む前に、まずはお気軽にご相談ください。
