公正証書遺言って?重要性や法的効力について解説!

この記事でわかる事
  • 公正証書遺言の作成の流れや費用について
  • 公正証書遺言の法的効力
  • 公正証書遺言を作成する上での注意点
遺言とは?

遺言書の主な目的は、「財産を誰に相続させるのか」最終の意思表示をすることです。遺言書は認知機能が衰えてからでは作成が難しくなるため、判断能力があるうちに作成することが重要です。
主な種類として、公正証書遺言自筆証書遺言秘密証書遺言があります。
遺言書は重要な法的文書であり、適切な形式を選ぶことで、遺産分割が円滑に進むことが期待できます。

本記事では公正証書遺言について詳しくご紹介します!
公正証書遺言を作成するにあたって、参考にしていただければ幸いです。

遺言書がなければ、大切な家族が揉めてしまうことがあります。「相続」が「争族」とならないよう、備えておきましょう。

目次

公正証書遺言とは?

公正証書遺言は遺言者が遺言の内容を話し伝え、それに基づいて法律の専門家である公証人が作成します。

遺言者が公証人と2人以上の証人の前で、遺言の内容を口述し、その内容が遺言者の真意であることを公証人が確認したうえで作成します。
そのため、形式で不備になることはなく、遺言を確実に残す有力な手段です。

作成する公証役場や公証人によっても異なりますが、多くの公証役場では、公証人が遺言の内容を読み上げながら、重要な項目ごとに遺言者へ質問し遺言者の真意であることを確認します。

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言の最大のメリットは「遺言を確実に伝えたい」という目的が果たしやすくなる点です。

1.法的な確実性が高い

法律の専門家である公証人が関与して確実に作成されるため、遺言の内容が法律に沿っていることが保証されます。また、家庭裁判所での検認が不要で、遺言執行がスムーズになります。

2.安全な保管

作成した遺言書の原本は公証役場で保管されるので、紛失や改ざんの心配がありません。
保管期間は、遺言者の死亡後50年、または作成後140年など、長期間にわたって保管される仕組みです。

3.紛争防止の効果

作成する際に、公証人や証人が遺言内容を確認するため、遺言の信頼性が高くなります。家族間でのトラブルや紛争を未然に防ぐことができます。

4.文字が書けなくても作成できる

公証人が遺言内容を聞き取って文書にするため、病気などで自筆が難しい場合にも作成できます。

公正証書遺言のデメリット

1.費用がかかる

公証役場での作成に公証人手数料が発生します。財産額によって費用が変動するため、経済的負担を考慮する必要があります。

2.作成に時間と手間がかかる

公証役場への訪問、公証人との事前打ち合わせ、証人2名の準備など、手続きをスムーズに進めるための準備が必要です。特に高齢の方や遠方に住んでいる方にとっては負担になることがあります。

3.遺言の種類の中でも秘密性が低い

公証人や証人が遺言内容を確認するため、遺言者が望む秘密性を完全に保つことが難しい場合があります。

デメリットを理解した上で、目的に合った遺言の作成方法を選ぶことが大切です。
遺言書の形式を選ぶ際には、専門家に相談することも大切です。

公正証書遺言の作成方法

STEP
遺言者または代理人が公証人と事前の打合せ

必要書類を揃えた上で事前打ち合わせを行います。

STEP
遺言者の意思と、遺言の内容を確認の上、公証人が公正証書遺言の原案を作成

多くの場合1~2週間程で原案ができますが、公証役場の込み具合によって1ヶ月近くかかる場合もあります。

STEP
公証人から遺言者または代理人へ原案を送付

FAXやメール、郵送等で送付されます。

STEP
遺言者が公正証書遺言の原案を確認・検討

原案の文言に誤りが無いか、最終の意思表示が盛り込まれているか、確実にチェックしましょう。

STEP
公正証書遺言を完成させる日時の調整・決定

公証役場の混み合っている際は予約が1ヶ月以上先になる場合もあります。事前に公証役場へ確認することをオススメします。

STEP
公証役場に出向き、公正証書遺言を作成

公証人と2人以上の証人の前で遺言書の内容を確認します。

STEP
公正証書遺言の原本に遺言者と証人2人が署名押印

正本と謄本は遺言者へ交付されます。

作成当日は実印(印鑑登録証明書の印影と同じ印鑑であることを必ず確かめておきましょう)を持参します。もしも忘れてしまった場合には、その日に作成することができず、後日改めて作成することとなります。注意しましょう。

公正証書遺言の作成費用

公正証書遺言の作成費用は公証役場の手数料専門家の報酬があります。

1.公証役場の手数料

遺言の目的である財産の価額に対応する形で、次のとおり、その手数料が定められています。

目的の価額手数料
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下11,000円
500万円を超え1000万円以下17,000円
1000万円を超え3000万円以下23,000円
3000万円を超え5000万円以下29,000円
5000万円を超え1億円以下43,000円
1億円を超え3億円以下43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円を超える場合249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

 ※全体の財産が1億円以下のときは、手数料額に11,000円が加算されます。これを「遺言加算」といいます。

日本公証人連合会HP参照


2.専門家の報酬

状況やニーズに合わせて適切な専門家を選び、確実な遺言書を作成しましょう。
具体的には、弁護士・司法書士・行政書士などがサポートをしています。

公正証書遺言を作成する場合など、手続きが煩雑になることがありますが、専門家に依頼すれば証人の手配や公証役場とのやり取りなどを代行してもらえます。また、専門家のサポートを受けることで、自分の意志を確実に残すだけでなく、家族への負担も軽減でき安心です。

専門家によって報酬額が異なります。
行政書士へ依頼した場合は、約5~12万円が相場です。手頃な費用で、法的効力のある遺言書を作成できます。
司法書士へ依頼した場合は、約7~15万円が相場です。不動産の相続手続きが必要な場合に特に適しています。
弁護士へ依頼した場合は、約20~30万円が相場です。相続争いの可能性がある場合に適しています。

公正証書遺言の法的効力とは

1.証拠能力が高く、適法性が担保されている

公証人が本人の意思確認を行うため、適法性や意思能力が担保されています。特に高齢者や認知機能に課題のある方の場合でも、遺言の有効性が確保されやすいです。

2.形式的要件の遵守

遺言は民法で定められた形式を満たしていなければ無効となる場合がありますが、公正証書遺言は公証人が形式要件を確認しながら作成するため、このリスクが極めて低いです。

3.執行がスムーズにできる

遺言書の中で遺言執行者を指定しておくことで、遺言執行人による遺言の内容実現が容易になります。

公正証書遺言を作成した方がいい人とは?

下記の場合は遺言書がないと相続が発生したときに大切なご家族に争うが発生する可能性があります。

  • 遺言の内容を確実に実行したい人
  • 法定相続人以外に遺産を渡したい人
  • 法定相続分と異なる分割を希望する人
  • 先妻と後妻にそれぞれ子供がいる人
  • 未婚で子供がいない人
  • 実子と養子がいる・嫡出子と嫡出子ではない子がいる人
  • 不動産の遺産が多い人
  • 自宅しか財産がない人
  • 障害者もしくは援助が必要な家族がいる人
  • 法定相続人が行方不明になっている人

自分には関係ないと思っている場合でも、再確認しておきましょう!

公正証書遺言作成時の注意点

1.遺留分を把握しておく

遺留分とは、法定相続人が最低限取得できる遺産の割合であり、配偶者や子供は法定相続分の1/2、父母には1/3が民法によって保障されています。遺留分の侵害があれば、侵害している相手に対し、侵害された側が返還請求することになります。

2.公証人は遺言の内容まではアドバイスしてくれない

法律の専門家である公証人ですが、遺産の分割内容については相談することができません。
具体的な内容について相談は、弁護士・司法書士・行政書士などがサポートをしています。

まとめ

今回は公正証書遺言の具体的な作成方法、重要性や法的効力について説明しました。
公正証書遺言には非常に強い法的な効力があります。
その一方で、遺言は法律で求められる要件を満たしていないと、内容の一部または全部が無効となってしまうリスクがあるのでご注意ください。
公正証書遺言は遺言を確実に残したい場合にとても役に立つおすすめの方法です。ぜひご活用ください。

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