相続人に未成年者がいる場合は?

相続が発生したとき、相続人の中に未成年者がいるケースは珍しくありません。法定相続人の中に未成年者がいる場合はどうしたらいいか、わからない方も多いのではないでしょうか?

相続人に未成年者が含まれている場合と、相続人がすべて成人の場合とは、遺産分割協議における物事の扱い方が違うので注意が必要です。

本記事では、未成年者が相続人になった場合の遺産相続について解説します。

目次

未成年者は相続人になれるのか?

法定相続人の年齢には特に縛りがないため、未成年者でも相続する権利はあります

“民法887条(子及びその代襲者等の相続権)”

被相続人の子は、相続人となる。

しかし、未成年者は法律行為を単独で行うことができません。

相続手続きの際には原則、遺産分割協議を行いますが、遺産分割協議は法律行為に該当するため、未成年者は、本人が遺産分割協議に参加して権利行使をすることができないのです。

そのため、遺産分割協議に参加する場合は、法定代理人が必要になります。

法定代理人はだれ?

原則は、未成年者の法定代理人になるのは親権者です。

しかし、相続が発生した場合には、未成年者もその親も相続人になることがあり、このような場合には親が法定代理人となることはできず、特別代理人を選任する必要があります。

もしも特別代理人を選任せずに親権者が代理人として遺産分割協議に参加した場合、その遺産分割協議は無効になります。

親と未成年の子どもがともに相続人の場合、親が法定代理人になれない理由は利益相反行為となるためです。

相続人という立場と、別の相続人の代理人という立場を同一人物が行うと、一方の利益を増やして一方の利益を減らすという形になってしまい利害が対立してしまいます。このような状態は利益相反行為として法律で禁止されています。

たとえ子どもが有利な内容でも、親との利益相反となるので特別代理人は必要です。

特別代理人が不要なケースは?(具体例)

親権者が相続人ではない場合

未成年者の親権者が相続人でない場合、親権者が未成年者の代理人として遺産分割協議を行うことが可能です。例えば、親権者の前婚の配偶者(未成年者の父)が亡くなった場合、親権者自身は相続人ではないため、特別代理人の選任は不要です。

法定相続分とおりに相続する場合

遺産分割協議を行わず、法定相続分に従って相続する場合、特別代理人の選任は不要です。例えば、不動産を相続人全員の共有名義で登記する場合などです。

親権者が相続放棄した場合

親権者が相続放棄をした場合、未成年者のみが相続人となるため、利益相反が生じません。この場合、親権者が未成年者の代理人として遺産分割協議を進めることができます

特別代理人について

特別代理人とは

特別代理人は、未成年者や判断能力が低下した人の利益を守るために重要な役割を果たします。特別代理人の選任は、家庭裁判所に申立てが必要です。特別代理人は家庭裁判所の審判で決められた行為についてのみ、代理権を行使することを認められています。家庭裁判所で決められた行為が終了したときは、特別代理人の任務は終了します。

未成年の相続人が2人以上いる場合は、同じ人が代理人になることができないため、それぞれについて特別代理人を選任してもらう必要があります。

特別代理人となれる人

特別代理人になれるのは、相続に関係のない者です。

特別代理人選任の申立をするときには候補者を立てることができます。候補者が適任でない場合や、候補者の指定がない場合には、家庭裁判所が適切な人物を選任します。

特別代理人を選任する方法

家庭裁判所に申し立てをする

特別代理人の選任申し立ては、通常は親権者が行います。申し立て先は、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所です。申立に必要な書類は以下のとおりです。

  • 特別代理人選任申立書
  • 未成年者の戸籍謄本
  • 親権者又は未成年後見人の戸籍謄本
  • 特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
  • 遺産分割協議書案
  • 収入印紙800円分(子1人につき)
  • 連絡用の郵便切手

申立書の書式は、裁判所のホームページからダウンロードできます。

申立書を提出すると、家庭裁判所で審理が始まり、一般的に1ヶ月~2ヵ月ほどかかります。

選任後の手続きについて

特別代理人が選任されたら、配偶者が特別代理人と遺産分割協議を行います。

特別代理人が子どもの代理人として遺産分割協議書に署名押印することで、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなどの相続手続きを進めることができます。

まとめ

相続人の中に未成年者がいる場合、親権者も一緒に相続人になっていれば、親権者が未成年者の代理人となって遺産分割協議を行うことができません。この場合、家庭裁判にて特別代理人を選任してもらう必要があります。

未成年者がいる場合の相続手続きには、通常よりも時間がかかることがあります。

相続放棄や相続税申告などは期限があるため、早めに準備に取り掛かるようにしましょう。

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