死後事務委任契約とは?内容や費用について解説!

目次

死後事務委任契約とは?

死後事務委任契約とは、本人が亡くなった後の事務手続きを第三者に委任する契約です。

人が亡くなると、葬儀の手配・行政手続き・遺品整理・医療費の清算など数多くの事務処理が必要となります。この事務処理を、信頼できる人との間であらかじめ契約をしておくことで、自分が亡くなった後の事務処理を任せられます。

死後事務委任契約を利用すべき人とは?

以下に該当する人は、死後事務委任契約を検討することをお勧めします。

内縁関係・事実婚をしている人

昨今、事実婚のパートナーができる手続きは増えてきましたが、いまだに戸籍上のつながりがないために手続きができない場合があります。

法的な婚姻関係がない場合は、残されたパートナーが困らないためにも死後事務委任契約を検討しましょう。

おひとりさまで身寄りのない人

身寄りがない方やおひとりさまの場合、近親者がいないため死後事務を行うことが困難です。

万が一の場合に備え、死後の手続きを誰かに委任する必要があります。

家族・親族に負担をかけたくない人

亡くなった後の事務手続きは、思っている以上に手間や時間がかかり大変な作業です。

ご自身が亡くなったあとに親族に負担をかけたくないと考えている人も、死後事務委任契約を検討しましょう。

特定の希望がある人

葬儀の形式や遺品整理の方法など、家族と異なる希望がある場合、遺言書の付言事項やエンディングノートに希望を記載することができますが、これらには法的な拘束力はありません。

あらかじめ死後事務委任契約を結ぶことで自分の希望を実現することが可能です。

死後事務委任契約でできること

死後事務委任契約で委任できることは数多くあります。具体的には以下の通りです。

委任できること
・葬儀の手続き

具体例…遺体の搬送や安置、葬儀や火葬の手配、埋葬やお墓の手配など

・行政手続き

具体例…公的年金の受給停止、税金の納付、健康保険証や運転免許証の返還など

・解約手続き

医療施設の清算、電気やガス等の各種公共料金の解約、 賃貸住宅の退去など

・その他

残されたペットのお世話、遺品やデジタル遺品の整理、関係者への連絡など

死後事務委任契約でできないこと

死後事務委任契約は、あくまでも亡くなった後の事務的な手続きについての契約です。以下の内容については死後事務委任契約の中で結ぶことができません。

1.相続に関する事項

相続に関する事項や遺言執行者の指定などの「自分の財産を誰にどのように相続させる」といったような内容で契約することはできません。

このような身分事項については、遺言書に記載した場合に法的な拘束力を持つ事項です。遺言書と死後事務委任契約を併用することが必要となります。

2.生前の手続きに関する事項

死後事務委任契約は死後に発生する手続きのみを依頼することができます。介護や生活の補助、生前の財産管理については依頼できません。

このような事項については、財産管理契約見守り契約、判断能力が低下した本人のために契約締結などを支援する後見制度などの併用を検討しましょう。

死後事務委任契約は誰に委任する?

死後事務委任契約を結ぶ相手(受任者)は、特別な資格は必要ありません。信頼できる親族、友人、会社の同僚など、身近な人であれば誰とでも契約が可能です。

具体的には以下の通りです。

  • 知人・親戚
  • 社会福祉協議会
  • 弁護士・司法書士・行政書士
  • 民間企業

「身近な人に手を煩わせたくない」「身寄りがないため頼れる人がいない」といった場合は、専門家に依頼することで、より専門的なサポートを受けることが可能です。

死後事務委任契約の流れ

STEP
依頼する内容を決める

葬儀の手配、行政手続き、遺品整理など、委任したい内容を明確にします。委任できることは多岐にわたるため、ご自身がどのような事項をお願いしたいかを書き出してみることが重要です。

STEP
委任する人(受任者)を決める

信頼できる個人や専門家を選び、契約内容を確認します。死後事務委任契約の受任者に特別な資格は不要なので、信頼できる人を選びましょう。

STEP
死後事務委任契約書を作成する

委任内容を記載した契約書を作成し、契約書に署名・捺印し、正式に契約を締結しましょう。また、契約書は「公正証書」にすることをお勧めします。公正証書にすることで、法的な効力を確保することが可能です。

公正証書を作成するには、お近くの公証役場に連絡して相談予約をとります。作成するにあたり、必要な書類を揃え、公証人に希望を伝えて公正証書を作成します。必要な書類や費用、かかる日数などの詳細は、公証役場に確認しておきましょう。

死後事務委任契約にかかる費用

1.公正証書にする場合、公証役場の手数料

死後事務委任契約書を公正証書にする場合、公証役場に支払う手数料がかかります。

無報酬の場合は、11,000円の手数料とその他実費がかかります。

報酬に定めがある場合は、報酬額の価額により定められます。

目的の価額手数料
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下11,000円
500万円を超え1000万円以下17,000円
1000万円を超え3000万円以下23,000円
3000万円を超え5000万円以下29,000円
5000万円を超え1億円以下43,000円
1億円を超え3億円以下43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円を超える場合249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

日本公証人連合会HP参照

2.専門家に依頼した場合、専門家の報酬

専門家に公正証書作成のサポートを依頼する場合は、別途専門家への報酬が発生します。

3.死後事務委任の執行に関する費用

死後事務を行う際には、様々な費用が発生します。たとえば、依頼者が亡くなった後、死後事務委任契約の受任者は、葬儀費用を払ったり、病院への支払いを行ったりしなければなりません。どのような内容を委任するかで異なりますが、実際、執行にあたる費用としては50万円~300万円ほどが必要となります。

依頼者が亡くなった後は、依頼者の預金口座は凍結され、財産に対する権利は相続人に引き継がれます。こうなると、上記のような「事務処理に必要な費用」を、委任者の財産から支払うことができなくなるので、あらかじめ受任者に預託金を預ける方法や委任者が亡くなったときの生命保険を執行費用にまわすという方法があります。

預託金は委任者のお金なので、受任者は預託金を自分の財産とは分けて管理する必要があります。預託金をきちんと区別して管理するために、信託銀行に預ける方法も検討しましょう。

まとめ

核家族化や高齢化が進み、おひとりさまが増えている現代では、死後委任契約を考える人が増えています。

死後の事務処理について不安を感じている場合は、死後事務委任契約を結ぶことを検討し、自分や家族の将来に備えましょう。

当事務所では死後事務委任契約のほか、任意後見契約や遺言書など、ご希望に沿ったオーダーメイドのサポートが可能です。お気軽にご相談ください。

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