遺言書は何度でも書き直すことが法律上認められています。そのため、複数の遺言書が見つかることは珍しい事例ではありません。生活状況や家族構成が変わることで、新しい内容が追加されることもあります。
では、遺言書が複数見つかった場合、どの遺言書が有効なのか、どのように手続きを進めるべきなのかを知っておくことが重要です。
本記事では、遺言書が複数発見された場合の対応を分かりやすく解説します。
遺言書の種類
遺言書には主に以下の種類があります。
自筆証書遺言
遺言者本人が手書きで作成した遺言書のことです。
改ざんを防ぐため、法務局に保管されている場合もあります。
公正証書遺言
公証役場で、公証人と証人が関与して作成された遺言書のことです。

秘密証書遺言
遺言者がその内容を他人に知られずに作成することができる遺言書のことです。
複数の遺言書のうち、どれが有効か?
最新の日付の遺言が優先
原則として、最新の日付が記載された遺言書が有効とされます。
矛盾しない内容の場合はいずれも有効
複数の遺言書が見つかり、それぞれの内容が矛盾しない場合は、すべて有効です。古い遺言書で記載された財産が新しい遺言書に明記されていない場合、両方の内容が有効となります。
民法1023条(前の遺言と後の遺言との抵触等)
1. 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2. 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。
遺言の種類は優先順位に関係しない
遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、これらの遺言書の種類は、優先順位には関係しません。
複数の遺言書が発見された場合の対応
日付が新しい遺言書を有効として取り扱うというルールが基本です。複数の遺言書が見つかったら、まずは日付順に整理し優先順位を明確にします。
法律上の有効要件を満たしたものかどうかを確認します。公証役場で作成した公正証書遺言であれば、形式的に不備になることはありませんが、本人が自筆で書いた自筆証書遺言は、法律上の要件を満たしていないことがよくあります。
内容的に矛盾するものでなければ、どちらの遺言も有効となります。日付の古い遺言だからといって、破棄してはいけません。各遺言書を丁寧に読み解き、内容を確認することが大切です。
まとめ
本記事では、遺言書が複数見つかった場合の対応について解説しました。
自分が作った遺言書が原因で、残された大切なご家族が揉める事ない様に、事前に対策を立てておくことが重要です。
遺言書で分からないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
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